17. 疑問文
今回は疑問文をやります!
疑問文には「はい/いいえ」で答える真偽疑問文、「何」に対して答える疑問語疑問文の2種類があります。
と、その前に。ソラ、この文を訳せる?
- 私はヒトではない。
- remna
- x1 は生物学的ヒト/ホモサピエンス
- mi na remna
こうでしょ? いやいや、私は人間だけれども!
よし、na のことは忘れてないようだね。じゃあまずは真偽疑問文からやります。
真偽疑問文の作り方は至って簡単!尋ねたい文の頭(.iの直後)に xu を置くだけです。
- xu
- 心態詞;対象が真か偽かを尋ねるときに用いる
- [.i] xu lo vi prenu cu mamta mi
- この人は僕のお母さんですか?
- mamta
- x1 は x2 の母親
なんなんだこの例文は……。
っと、ところで、定義にある「心態詞」ってなんぞや?
ああ、「心態詞」というのは「気持ちや態度を表す言葉」のことだよ。はじロジの最後でまとめてやろうかなって思ってます。
さて、疑問文をやるからには、その答え方についても学ばないとね。
真偽疑問文の返答のパターンは基本的に2つ!{go’i}「その通りです」か {na go’i}「その通りではない」です。
- .i xu lo vi prenu cu mamta mi
- この人が僕のお母さんですか?
- ― .i na go’i .i tu mamta do
- ― いいえ。あの人が君のお母さんです。
(結局 母親じゃなかったのかよ…)
この go’i というのは「その通りだ」って意味なんだね。
そう。厳密に言うと、「直前の文の内容を繰り返す」のが go’i です。まあつまりは「その通り」ってことだね。
- go'i
- 代詞;直前の文の内容を繰り返す。
go’i は文法的には述なれ語なので、「その通りでない」なら、na をつければよいのです。go’i の詳しい使い方についてはまた今度やるので、今回は質問の応答に go’i を使うということだけ覚えておいて。
了解っす。あ、疑問文といえば、否定疑問文への応答が yes/no と はい/いいえ で逆転するよね。ロジバンはそこのところどうなってるの?
実はここのところが少し厄介なんだよ。例文を使って説明しよう。
- .i xu lo vi prenu na mamta mi
- この人は僕のお母さんではないのですか?
これに対して、
- go’i
と答えたら、go’i は直前の文を復唱するわけだから、「お母さんではありません」という意味になります。
しかし!ここが本当に面倒なんだけれど、
- na go’i
と答えると、go’i の性質上、否定文に対する {na go’i} は否定文そのままの意味「母ではない」になります。
…ので、否定疑問文では go’i も na go’i も「はい、君のお母さんではありません」という意味になります…。
メ、面倒くせえ…(けど、例文の続きが気になって仕方がない…)。じゃあ「君のお母さんです」って答えるにはどうすれば?
そこで前回やった na の対の語 ja’a の登場です! ja’a は文を肯定にするから、これで「いいえ、君のお母さんだよ」と言えます!
- ja’a go’i
- いいえ、君のお母さんだよ。
ううん、なるほど。でも、本当はこの人は彼のお母さんではないんだよね?
ん?何の話…?
次は、疑問語疑問文をやります。ロジバンの疑問語疑問文は日本語とほとんど同じです。つまり、「何」に相当する語 ma を尋ねたい位置に置くだけです。もちろん、複数置いても大丈夫!
答え方は、そこに当てはまる項(sumti)を言えば大丈夫。複数のmaに対しては、前から順に答えればいいよ。
- ma
- sumti疑問語;sumtiの代わりに置いて疑問表現を作る。「何」「誰」「どれ」
- .i mi ca catlu ma
- 僕は今、何を見つめていますか?
- ― .i lo patfu
- ― お父さんです。
- catlu
- x1 は x2 を見る/見つめる/見入る
ええええ!お父さんだったの? なんで…どこをどうやったら見間違えるんだ……。
…あ、ロジバンでは 5W1H はどうやって表現するの?えっと、When, Where, Why, How(いつ、どこで、なぜ、どうやって)の4つか。
それらはすべて、タグと ma を組み合わせて表現できるよ!
順に{ca ma}「いつ」、{bu’u ma}「どこで」、{ki’u ma}「なぜ(何を理由にして)」、{ta’i ma}「どうやって」だね。
- ca ma
- いつ
- bu'u ma
- どこで
- ki'u ma
- なぜ(何を理由にして)
- ta'i ma
- どうやって(何を方法として)
- ta'i
- 法制タグ; tadji x1 「~を方法/手段として」
- tadji
- x1(過程)は x2(事)を x3(状態条件)のもと遂行するための方式/方法/用法/手段/マナー
ma は項が置けるところならどこにでも置けるんだね。ここでまたタグが活きてくるとは…。
あともうひとつ、どんな述語(selbri)かを尋ねる疑問語もあります。
mo は述なれ語とまったく同じように使えて、「どのようか/どうであるか/何であるか/どうするか」を尋ねます。
答え方は、maのときと同じく、答えとなる述語を言えばOK。
- mo
- selbri疑問語;selbriの代わりに置いて疑問表現を作る。「何であるか」「何をするか」「どうであるか」
- .i lo vi prenu cu mo
- この人は誰ですか?
- ― .i ja’a patfu
- 本当に父です。
(この子しつこいな…)
述なれ語とまったく同じように使えるってことは、tanru の部品としても使えるのかな。
うん、使えるよ。{mo nanmu}「どんな男ですか?」とか、いろいろ使い道はあるかもね。
よし、ここらで、久々に練習問題いってみよう!(紙とペンの用意を!)
- 次の日本語をロジバンに、ロジバンを日本語に訳せ。
- その本はどこにありましたか?
- そのレストランはどこにありますか?
- 何が何を見ているのですか? ― 鳥が、虫を。
- あなたはもうごはんを食べましたか? ― いいえ、まだです。(ヒント:{ba’o}を使って)
- ma jalge lo nu le laldo nanmu cu catra lo tixnu ― lo nu le nanmu cu ze’u klaku
- cukta
- x1 は x2 (内容)・ x3 (著者)・ x4 (読者)・ x5 (媒体)の本/文献
- zvati
- x1 (物/事)が x2 (事/所)に居る/在る(一時的な所在)
- gusta
- x1 は x2 (飲み物/食べ物)を x3 (客)に提供する飲食店/レストラン/カフェテリア
- stuzi
- x1 は x2 (物/事)の本質的/恒久的な場所/現場(動かないものの位置)
- cipni
- x1 は x2 (種類)のトリ綱
- cinki
- x1 は x2 (種類)の昆虫綱
- sanmi
- x1 (群)は x2 (品/コース)の食事/ごはん
- jalge
- x1 (事)は x2 (事)の結果/結末
- laldo
- x1 は x2 (基準)において古い/高齢/年寄り
- catra
- x1 は x2 を x3 (動作/方法)で殺す
- tixnu
- x1 は x2 (親)の娘
- klaku
- x1 は x2 (涙)・ x3 (理由)で泣く
うーん。ボリューミーだ…。えっと…ちょっと待ってね…
はい!できた!これでどう?
- .i le cukta pu zvati ma
- .i le gusta cu stuzi ma
- .i ma catlu ma ― .i lo cipni lo cinki
- .i xu do ba’o citka lo sanmi ― .i na go’i
- あの老いた男性が娘を殺したことの結末は何ですか? ― その男は長い間泣いたということ。
うん、バッチリだ…ね…? ん、ソラ、stuzi のPSをよく見て?
え…。あ! zvati と stuzi って「モノ」と「場所」の位置が逆なんだね。えっと、じゃあ、
- .i ma stuzi le gusta
これでどうかしら。「どこがそのレストランの場所ですか」で、「そのレストランはどこにありますか」だ。
OK!これで否定文、疑問文が言えるようになったね。
日常会話の中でも簡単なものならもう訳せるかも?試してみてね!
True/False Questions
- ma は sumti の代わりに置き、mo は selbri の代わりに置く疑問語である。
- ma は1文で複数個置くことができる。
- mo を tanru の部分として用いることはできない。
- ma にタグを付することはできるが、その種類は限られる。
- 真偽疑問文には基本的に {go'i}、{na go'i}、{ja'a go'i}のいずれかで答えればよい。
-/- answers correct!