6. tanruをカッコよく
お久しぶりです、コションです。今回は tanru を カッコよく していきます!
あ、お久しぶり~。元気してた?
tanru っていうのは、述語になれる語を連ねた表現のことだったよね。
- blabi mlatu zdani
- 白い猫の家だ; (([白] [猫]) [家])
修飾構造は一通りに定まってて、左から順にすぐ右の語を修飾していくんだよね。
その通り。やっぱ2周目はサクサク進んでいいね!
なんかバカにされてる感が…。
そんなことないよ。
さて、その文だと「猫が白い」ことになるけれど、「家が白い」ことを言いたい場合は 修飾構造を変える 必要があります。
([白] ([猫] [家]))
えっと、「猫の家が白い」ってことだね。修飾の括弧の付け方を変えてやればいいわけだよね。
もしかして… 「tanruをカッコよく」 って…
そうです!括弧のような役割がある機能語を使うと、tanruを括弧良く できて修飾構造が変えられるというのが今回のお話です。
えっと。しばらく見ないうちに嗜好が変わったね。彼氏の影響?
いねーわ。ということで、{bo} {ke} {co} についてやるよ。
bo は結合の優先順位をあげる
機能語 {bo} はその両端の語の結合の優先順位をあげます。
- bo
- どんなものよりも優先的に、両端の語を結合させる。
- blabi mlatu bo zdani
- 白い、猫の家だ; ([白] ([猫] [家]))
あー、算数の + より × のが計算の優先順位が高いみたいな、そんな感じか。
ke … ke’e は「tanruの優先括弧」である
{ke} {ke’e} はまさに「tanruの括弧」。{ke} と {ke’e} で挟まれた構造をさきに処理します。
詳しい話をすると、{ke … ke’e} の句は、1つの述語として使える語と構文的に同じになります。
- ke
- ke と ke’e で挟んだ語句を優先的に処理する。{ke..ke’e}句は構文的に1つの述なれ語と等しい。
- ke’e
- ke の終止詞。
- blabi ke mlatu zdani ke’e
- 白い、猫の家だ; ([白] ([猫] [家]))
- xekri ke melbi kerfa ke’e ke cinla birka ke’e bo ninmu
- 黒い美しい髪をした、細い腕の女だ; (([黒] ([美] [髪])) (([細] [腕]) [女]))
- kerfa
- x1 は x2 (本体)・ x3 (箇所)の毛/髪
- cinla
- x1 は x2 (次元/方向)・ x3 (照合枠)において細い/薄い
- birka
- x1 は x2 (本体)の腕
ke … ke’e で囲まれた {mlatu zdani} をさきに処理して、その全体に blabi が係ってくるんだね。
2つ目の例文は…。これまたややこしいな。{ke…ke’e}句が述なれ語と構文的に一緒ってことを使うと、
[xekri] [melbi kerfa] [cinla birka] bo [ninmu]
A B C bo D
((A B) (C bo D))
ってなるってことか。
その通り。ちなみに、{bo}と{ke}はtanruの修飾構造を変える以外にも仕事があるから、
tanru以外のところで出てきても慌てないでね。他のお仕事についてはまた別のところでやります。
機能語業界も大変だね。
co は優先順位を弱め、修飾を反転させる
{co} は {bo} や {ke} に比べて少しトリッキーです。機能は大きく分けて3つ。
- 修飾の優先順位をデフォルトよりも弱める。つまり、{co} は最後に処理する。
- 修飾関係を反転させる。つまり、右の表現を左に係らせる。
- 後続する項は co の右側の表現(修飾句)が担う。
3つ目は謎だと思うから、とりあえず上の2つを理解してね。「両端まとめて右から左」。
- co
- tanru の修飾関係を反転させる。修飾部のPSが後続の項を担う。
- zdani co blabi
- 白い家だ
- bunre mlatu co nimre jisra nelci
- みかん汁好きの茶色い猫だ; (bunre mlatu) co ((nimre jisra) nelci)
- nimre
- x1 は x2 (種)のかんきつ類/ミカン属
- jisra
- x1 は x2 (原料/種類)の汁/ジュース
うん。上2つはそんなに難しくもないね。なんでわざわざ修飾関係を反転させるのかは謎だけど。
それは3つ目とも関係してくるから…。たとえば、こういう感じの表現ができます。
- tu ladru nelci ke blabi mlatu co klama la .latcmatcad. le cmana
- あれは、山からラチュマチャドへ行くミルク好きの白い猫だ。
- ladru
- x1 は x2 (起源)のミルク/牛乳
あー、{la .latcmatcad.} と {le cmana} が {klama} の x2, x3 に入ってるね。
でもこれって、{be} {bei} を使えば {co} が無くても表現できるよね?
- tu klama be la .latcmatcad. bei le cmana ke ladru nelci ke blabi mlatu
- あれは、山からラチュマチャドへ行くミルク好きの白い猫だ。
見にくいでしょ。
ぐぬぬ確かに。修飾構造を保つために{ke}もいるしなあ。縛位詞(be, bei)が使われてる表現を修飾句にすると、ごちゃごちゃして読みにくくなるわけね。
だね。{co} はもっぱらそのための機能語と思ってもらってもいいかな。中間的な表現だと、
- tu ladru nelci ke blabi mlatu co klama be la .latcmatcad. bei le cmana
- あれは、山からラチュマチャドへ行くミルク好きの白い猫だ。
になるね。
修飾が反転するだけでスッキリするね。{co}はもう一歩スタイリッシュにするために、3つ目の機能も備えてるってわけか。
そういうことだね。修飾句が縛位詞を含むようなときは特に{co}が使えるか考えてみるといいよ。
tanru縛りで詩を書こう
tanruの修飾構造を自在に変えることができるようになったところで、
ちょっと息抜きに、ひとつ縛りを入れて詩を書いて遊びましょう!
お、面白そう。縛りとは?
述語だけの文を連ねて詩を書く の。名付けて tanru pemci だね。
「述語だけ」だから豊かな表現のためには tanru を駆使する必要がある!面白そうでしょ?
- pemci
- x1 は x2 (特徴)・ x3 (作者)・ x4 (読者)の詩
手始めに・・・。
.i xendo solri bo gusni canci
.i nicte manku klama
.i cladu cliva
.i smaji
//(意訳)
優しい太陽の光が消えた。
夜の闇がやってきた。
喧騒が去った。
静寂。
- solri
- x1 は x2 (惑星)の太陽/恒星
- gusni
- x1 (エネルギー)は x2 (対象)を x3 (光源)に基づいて照らす光
- canci
- x1 は x2 (所/視界)から消える
- cladu
- x1 は x2 (観察基点)・ x3 (照合枠)においてうるさい/やかましい
- smaji
- x1 は x2 (観察点)・ x3 (基準)において静か/閑静/沈黙
なんかそれっぽい! 時制が任意だから、tanru の曖昧な感じがすごく活きるね。これ、俳句とかもできるんじゃない?
そうだね。述語の前にタグを置くのを許容したり、音数を制限したり、韻を踏んだり。いろんな縛りを入れて遊ぶと楽しいよ。
私もやってみよっと。
.i barda mlatu
.i cmalu mlatu
.i mutce melbi
.i gleki munje
//
おっきいネコ
ちっさいネコ
めっちゃかわいい
しあわせ世界
……えっと……。
ボケではないですね。こういうのセンスないんだよ私、知ってるでしょ???
True/False Questions
- 次の表現では「家が白い」: blabi mlatu bo zdani
- 次の表現の{ke'e}は省略できる: broda ke brode brodi ke'e brodo
- co の右側の句は修飾句である。
- A B bo ke C D ke E F co G H の修飾構造は、 ((G H) (A (B (C D (E F))))) である。
-/- answers correct!