7. 冠詞
むーーーー
おはよー。どうしたの?難しい顔して。
あ、おはよう。いや、マイロジバンノートを見返してたんだけどさ、私の知ってる項として使える語句が少ないなあと思って。代名詞みたいなのしか知らないんだもん。
そういえばそうだね。じゃあ今日は項の表現力を鍛えよう!
lo は述なれ語を項として使える語句に変換する
「女」とか「猫」とか、どう言えばいいの?
ちなみに、「女だ」「猫だ」はなんて言うか覚えてる?
えっとね…あったあった! ninmu と mlatu だよね。
- ninmu
- x1 is a woman
- mlatu
- x1 is a cat of species x2
そうそう。これらは述語として使える語、述なれ語だったね。述なれ語は{lo}と{ku}で挟むと、項として使えるようになる んだよ。
{lo}は冠詞みたいなものかな。{ku}は…なんだろ。
{ku} は 終止詞 のひとつだね。いわゆる「カッコ閉じ」。ロジバンは構文厳密な言語を目指しているから、こんな語があるのだよ。
- lo
- 汎用冠詞。述語として使える語句の前につけて、それのx1に当てはまる対象を指示する。
- ku
- 終止詞。lo や leの「閉じカッコ」として使う。
なるほどね。述なれ語を項として使える語句にする「括弧」か。えっと。じゃあ、こんな感じで…。
- lo ninmu ku nelci lo mlatu ku
- 女は猫が好きだ。
いいね!
「lo [述なれ語] ku」は「[述なれ語]のx1に当てはまるもの」という意味になるよ。
ninmuのx1に当てはまるものは「女」だし、mlatuのx1に当てはまるものは「猫」でしょ?
ああ、なるほど。てことは、今までに出てきた単語を使うと…
- lo blabi ku 白いもの
- lo citka ku 食べる人
- lo sanli ku 立っている人
- lo cadzu ku 歩く人
- lo klama ku 行く/来る人
- lo sipna ku 寝ている人
- lo gleki ku 幸せに思っている人
- lo tatpi ku 疲れている人
そんな感じだね。「lo は x1を引き出す」と覚えておこう。
ちなみにもちろん、tanru も述語として使える語句なので、lo と ku で挟むと項として使えるようになるよ。
- lo sipna ninmu ku
- 寝ている女
- lo stedu xunre finpe citka mlatu ku
- 頭の赤い魚を食べる猫
la は cmene を項として使える語句にする
そういや、「ソラ」とか「ラチュマチャド」とか、la が頭についてたよね。これも冠詞?
そうそう。cmene(名称語)を項として使えるようにするには la を頭につける んだよ。
- la
- 名称冠詞。cmeneの前につけて「[cmene]と呼ばれているもの」を指示する。
- la .soran.
- ソラ(と呼ばれているもの)
- la .kocon.
- コション(と呼ばれているもの)
- la .latcmatcad.
- ラチュマチャド(と呼ばれているもの/ところ)
la には ku はいらないの?
えっと。複雑な事情があって。
あっ、じゃあいいです。
入門講座の範疇からは外れるので機会があればまた…。
えっと、cmeneのルールは「子音で終わる」だったね。もし自分の名前の語末に子音がなかったらなんでもいいから子音をつけよう。メジャーなのはsかnだよ。
だから私の名前(ソラ)が soran になってるのか。えーと、じゃあ、自己紹介は…(辞書を調べながら)
la .soran. cmene mi / 私の名前はソラです。
でいけるかな!
- cmene
- x1 (文字列)は x2 の、 x3 (者)による名称
それが違う んだよね…。cmene の x1 に入るのは「文字列」なの。
{la [cmene]}は「[cmene]という名のもの」なので、名前それ自体を指しません。
じゃあどうすれば…?
{cmene}を述語として使いたいなら、22章でやる {zo [cmene]}「[cmene]という文字列」を使えばいいよ。
- zo .soran. cmene mi
- 私は「soran」という名前です。
もしくは、15章でやる me を使って、
- mi me la .soran.
- 私はソラです。
と言えるよ。me の意味は… とりあえず、「x1 は [項(sumti)] です」という意味を表すと思っておいて!
あともう一つ、自分の名前を言う方法として、25章でやる心態詞を使うやり方もあります:
- mi’e .soran.
- 私はソラです。
なるほど。色々あるんだね。一番シンプルなのは {mi’e} かな?
le は特定の対象を指示するのに使う
そういえば、ロジバンには定冠詞とか不定冠詞とかないの?
少なくとも公式にはないかな。ロジバンの lo は「何でも屋さん」で、汎用冠詞 と呼ばれてるんだけど、定/不定、単数/複数、総称/特定、どんなものでもとにかく述なれ語のx1に当てはまるなら lo が使えるんだよ。
「困ったらloを使え」ってことか。便利だ。
正味な話、lo さえあれば十分なんだけど、一応、「特定のあれ」って意味をもつ le という冠詞があるよ。これも lo とおんなじで、述なれ語のx1を引き出します。
- le
- 特定冠詞。述語として使える語句の前につけて、それのx1に当てはまる話者にとって特定されている対象を指示する。
あれか。物忘れが酷くなりつつあるおばちゃんの「あれよあれ、あのー、昨日の『試そうガッテン』でやってたビタミン豊富のあれよ」の「あれ」みたいな。
そう、それ。ひとつ注意して欲しいのが、le で表せるなら lo でも表せるということ。le は 汎用冠詞 lo の一部の機能を引き継いだ冠詞だということは覚えておいてね。
おっけー。「困ったら lo」 覚えた!
True/False Questions
- lo は話者にとって特定的な対象を指示するのに使える冠詞である。
- le で表せるならば、lo を使っても表せる。
- la は「名称冠詞」である。
- lo sipna ku は「眠っている人」ではなく、「眠り」「睡眠」という意味である。
- tanru にも lo や le を冠することができる。
-/- answers correct!