1. 字詞
さて、「強くてコンティニュー」はじまります。イメージとしては、「RPG2周目で、敵が強くなってる状態」という感じです。
まずは、はじまりの町ということでアルファベットから進めよう。
凝ってるのか凝ってないのかよく分からん設定だ…。
アルファベットといえば、「ニューゲーム」でやった通りだよね?
- 子音のアルファベット ・・・ 「[子音] + y + .」の形
- 母音のアルファベット ・・・ 「. + [母音] + bu」の形
そだね。ロジバンではいわゆるアルファベットのことを字詞(lerfu) と言います。
- lerfu
- x1 は x2 (文字体系)において x3 を表す字(文字/数字)
そういえば、「.(ピリオド)」とか「’(アポストロフィ)」の読み方は習ってなかったな。
今回はその辺りを見ていこう。目標としては、
- ロジバンで使う記号文字の読み方を知る。
- ロジバンで使わない文字、たとえば “h”, “q” をなんて言うか知る。
- {bu} と {boi} について知る。
くらいを目安に。
さて、勿体ぶっても仕方ないのでさっさとやるけど、アポストロフィとピリオドの字詞はこうです:
- ピリオド ・・・ denpa bu
- アポストロフィ ・・・ .y’y.
- denpa
- x1 は x2 (事)を x3 (状態)しながら、 x4 (事)が始まるまで待つ
ずっと気になってたんだけど、{bu} ってなんぞ?
{bu}はロジバン単語を使って字詞をつくるための機能語です。なかなかにパワフルなワードだよ。
{bu}の前にロジバン単語を1語置いて、「~な文字」くらいの意味の字詞を作る よ。
- bu
- 字詞造成 : 単語を字詞にする。
よく例に出されるものとしてはこんなのがあるね。
- .ui bu
- 「\(^o^)/」(笑顔マーク;嬉 な文字)
- .iu bu
- 「♡」(ハートマーク;愛 な文字)
- denpa bu
- 「.」(ピリオド;待ち な文字)
これはちょっと楽しいね。
ん?でもそれなら {.abu}, {.ebu} とかは「接続詞文字」ってことにならない?
{.a}とか{.e}とかってロジバンでは接続詞じゃん。
みなさん、これが「強くてコンティニュー」ですよ。
どこ向いてんだよ。
いや別に。
えっと、ソラと同じことを考えている人もいるみたいで、新しい母音の字詞を提案してる人もいるよ。
{.a’y.}, {.e’y.}, {.i’y.}, {.o’y.}, {.u’y.} って感じ。子音の字詞に近い形だね。
ただ、公式本で「{.abu}, {.ebu}, … は母音の文字だ」っつってるので、とりあえずはそれに従おう。
さっきの説明の通り、「くらいの意味」しかないのだ。
新しい母音の字詞システムも完璧ではありません。{.y’y.}が「アポストロフィ」と衝突してしまいます。
とはいえ、このように、新しい機能語を提案するというシステムがロジバンにはあります。
公式辞書「jbovlaste」では日々新しい語が登録され、評価され、改良されています。
さて、じゃあ次はロジバンでは使わない文字をどうやって表現するか、だね。
これもまあ色々あるのだけど、やっぱり {bu} を使う方法が便利だし、重宝されています。
- “h” ・・・ .y’y. bu
- “q” ・・・ ky. bu
それぞれ「”'”な文字」、「”k”な文字」って感じだね。
あー、音でなぞらえてるのか。アポストロフィの音はいわゆる”h”の音だし、”q”もたいてい”k”みたいな発音で読まれるもんね。
{bu}はほんと強力なツールで、すべての場合の意味が把握・定義されているわけではありません。
必要に応じて、字詞を作っていってください。
とはいえ、1つだけ注意点があって、ある種の単語を{bu}につけることはできません。
できないというか、統語論的に他の構文が優先されちゃうんだよね。
「ニューゲーム」で出てきた語でいえば、{zo}, {zoi}, {la’o}, {lo’u} だね。あ、ぜんぶ引用関連だね。
- zo bu
- 文字列{bu}
- ✕ zoな文字
- lo’u bu le’u
- 非文法的文字列{bu}
むー、そうか。{zoi}, {la’o} の直後って任意のロジバン単語を置くんだったね。{bu}がそれとみなされてしまうのか。
{lu}が大丈夫なのは何故か、というのは良いロジバン問題になりそうだね。
{lu}は文法的に正しいロジバン文を引用するわけだ。で、{bu}は必ずその前に1つ語を取らないといけない。
と考えると、{lu bu}で{lu}が{bu}を引用することはできないわけだね。そうすると、{lu}の中の引用文が非文法的になっちゃうから。
ヒュ~「強くてコンティニュー」~
さて。字詞の代項用法覚えてる?
「描写sumti(lo/le 述なれ語)や名前(cmene)を参照するときに、その述なれ語の頭文字を代わりに使える」ってやつ。
- lo bakni cu citka lo cukta .i by. cu bebna .ije cy. cu xunre gi’e rotsu
- 牛が本を食べた。b(= その牛)はバカで、c(= その本)は赤くて分厚かった。
- bakni
- x1 は x2 (種類)のウシ属動物
- bebna
- x1 は x2 (性質)に関して愚か/ばかげている/思慮が無い; x1 は阿呆/馬鹿
- rotsu
- x1 は x2 (次元/方向)・ x3 (基準)において太い/厚い
ああ、やったやった。イケてるよね。
実は、ひと連なりの字詞はそれで1つの項としてみなされます。
- .abu dunda by. cy.
- ✕ a は b を c に与える。
- a は bc を与える。
字詞の間の空白は関係ないので注意してね。{by. cy.}だろうが、{by.cy.}だろうが、これは「bc」。
じゃあ、「aはbをcに与える」というにはどうすれば?
そのために、ってわけでもないけど、字詞にも終止詞があるのでそれを使う。
- boi
- 終止詞:数詞、字詞
- .abu dunda by. boi cy.
- a は b を c に与える。
{boi} は数詞の終止詞でもあるんだね。
そう。深追いはしないけど、実は数詞と字詞を連ねることもできる。
まあ連ねたいときは滅多にないと思うので、{li pa by.} みたいなのに出くわしたら、
{li pa boi by.} とするか、{li pa lo’o by.} として、合体しないようにしてください。
字詞について散々やってきたし、最後に頭字語なcmeneについてやって終わろう。
つまり、NASA, CD, FBI, AIDS みたいなのをどうやって cmene化しようかっていう話ね。
公式によれば、「字詞をくっつけて並べ、母音が連続するところはアポストロフィを挟み、最後に適当な子音を置く」。
- la .ny’abusy’abus.
- NASA
- la .cydyd.
- CD
- la .fyby’ibun.
- FBI
- la .bypyfykyk.
- BPFK
- la .abu’ibudysys.
- AIDS
「適当な子音」てのに決まりはないけど、公式本だと2つの規則を提案してるね:
- 字詞のうち、最後に出てくる子音のものを繰り返す。
- 頭字語が発祥した文化圏の語の頭文字を使う(たとえば、アメリカ発祥なら {merko} の “m”)
まあもちろん、いつも通りに “n” や “s” をつけてもいいと思うよ。そこらへんは伝わりゃ自由。
「{.ybu}以外の{bu}を抜いてしまう」とか、「頭字語をそのままロジバン読みしてしまう」とか、
色々アプローチの仕方はあるので、(伝わる範囲で)工夫してみよう。
イケてたら、その方法が広まるかもしれないしね。
True/False Questions
- bu の前にはあらゆるロジバンの単語が置ける。
- denpa bu は「ピリオド」を意味する。
- 次の2つの文は同じ意味である:{by. prami cy.} と {by. cy. prami}
- boi は数詞の終止詞でもあるため、{li pa boi lo'o} は文法的である。
- 頭字語をcmene化する際、語末の子音には厳密なルールがある。
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